「リン」
「あいよ」
「色気のない返事だな。飯だ」
「クラさんがご飯用意してくれるとか珍しい……ってこれ、蟹の殻にしか見えないんですが」
「いいから食ってみろ」
ガリ
「本当に齧るかよ!」
「お前が言ったんだろーが!!」
「武器できたぞー」
「……これ、さっきの蟹の殻じゃん」
「手に嵌めて殴れ」
「あはははは。そこになおれ」
「結局今日もご飯抜きだそうです」
「そうですね」
「食べ物使って何やってんのさ、あの眼鏡」
「お前には理解できないから説明しない」
「ひどーい! クラさんの鬼! 悪魔!」
「……アニメ声作って酒瓶で叩くな」
「んで、眼鏡は?」
「今回は別行動だ」
「じゃあ今日だけクラさんと一緒?」
「そういうことになるな」
「……胸キュン?」
「するわけあるか」
「まあいいや、たまにはサシでもいいかな。酒付き合いなさい。今日はお気に入りの吟醸を空けちゃおう」
「お前な、この前二日酔いで頭痛いとか言ってなかったか?」
「そのくらいでへこたれてちゃ酒は飲めない」
「……懲りない奴だ」
「まあまあ、今日くらいいいでしょ。――クリスマスなんだし」
「来年は蟹の殻とか食わすなよ」
「それはお前次第だな」