記事一覧

Day11

 あるところに一匹のうさぎさんがいました。
 うさぎさんは道のそばでしくしくと泣いていました。
続き

 そこに、一升瓶と鮭とばをさげたおねえさんが通りがかりました。
 おねえさんはすっかりできあがっていてフラフラでした。
 千鳥足で足元も見ていなかったので、道端にうずくまるうさぎさんにつまずき、顔面から地面にダイブしました。

「いったぁぁ! どこの秘密結社の罠!?」

 おねえさんはちょっとどころでなく飲みすぎていました。

「――うさぎ?」

 ようやく足元のうさぎさんに気付いたようです。

 うさぎさんはしくしくと泣いています。
 おねえさんは顔面擦過傷だらけで血まみれです。

「ごめん! もしかして踏んじゃった?」

 それでもアルコールパワーで痛くないようです。
 顔面血だらけのまましゃがみこみ、うさぎさんの頭をなでなでします。

「痛いうさ・・・誰かが僕のしっぽを取ったぴょん・・・」

 うさぎさんはくるりと背を向け、おねえさんにおしりを見せました。
 そこにはあるはずのものがありませんでした。
 ふさふさとした毛がゆるやかな曲面に生えそろっています。
 丸くてかわいいしっぽは、最初からなかったかのようです。

「誰だか知らないけど酷いうさ・・・リンリンもそう思うぴょん?」

 おねえさんは、「ひどい人もいるのねー」とか適当なことを言いながら、お酒を飲もうと一升瓶を持ちあげました。

 けれど、一升瓶はありませんでした。

 おねえさんの手にはいつの間にか、白くてふわふわの毛玉をつなげたヌンチャクが握られていました。
 それはちょうど、うさぎのしっぽのような――

 そしてうさぎさんの鋭い前歯がおねえさんの首筋を――


「――という微妙にホラーな初夢でした。あのうさぎ、どことなくノルくんに似てたのが気になる」
「いや、それ案外夢じゃないかもしれない」
「ん?」

(→以下、結果参照)

COMMENT

コメント投稿

投稿フォーム
名前
Eメール
URL
コメント
削除キー