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Day42

 腰を落とし、まっすぐに拳を突き出す。
 宙を裂く鋭い音。速度はこの島に来た当初より上がっている。
 仮想敵の鳩尾を突いたところで拳を下げ、連なる動きで右足を高く上げて円を描き、首を狩る。右足が下がるとともに体も縮め、両手は地面。右足は地に着くことなく、そのままの勢いで相手の足を払う。
 透明な敵は地面に崩れる。その鳩尾へ間髪入れず拳を叩きこむ。もちろん手応えはない。体を起こして深く息を吸い、吐く。体を整えてそれで終わり。 
 以前から体に染み付いた一連の動きながら、速度も破壊力もこの数日で跳ね上がっている。腕を伸ばして滑らかな筋肉を意識する。無駄な動きが減り、最速最良の状態への移行が進行している。
 鈍っていた体が慣れてきたというだけならば良かったかもしれない。しかしこの数日の変化は成長というには異常な速さだ。しかも一番良く動き、良く伸びた十代の頃を凌ぐ勢いだ。高校を卒業した後は適当に維持するだけの運動しかしていなかったはずなのに。私の体は緩やかに、しかし確実に衰えていたはずなのに。
 ノルくんが言っていた「最適化」という言葉が頭から離れない。

 私はどうなってしまうのだろう。

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