拝啓
衣替えの季節となりました。
お父さん、お元気ですか。
十和子さんのお仕事の邪魔はしていませんか。
宝くじを当てようなんて夢は見ていませんか。
先日、お父さんのお知り合いのエレニアさんにご挨拶をしてきました。
エルフさんとお話するのは久しぶりなので緊張してしまいました。
そしたら実の娘かどうか疑われてしまいました。
それに葱…?がどうとか仰っていました。
お父さん、零はお父さんが何をしているのかさっぱりわかりません。
真面目にアルバイトしているものと思っていたのでショックです。
家に帰ったら話し合いましょう。
今日はエリカさんにお洋服をつくってもらいました。
さすがに制服だけは心もとありません。
また変な緑色の生物が襲ってこないとも限りませんしね。
服は、お父さんが作っていた霊装っぽくしてもらいました。
形だけなんだけど、見慣れたものを身につけていると落ち着きます。
あ、零はまだまだホームシックにはなっていませんよ。
まだまだ始まったばかりだし、もう子供じゃないもんね。
こんなところで弱音なんて吐いてられない。
では、またお手紙します。
追伸:
ベランダのカイワレとミニトマト、ちゃんと育ってる?
* * *
零へ
エレニアさん、そちらでも変わらずに息災なようですね。
むしろ、息災じゃなかったらあの人らしくないんですけど。
葱の件は誤解です。
僕が葱をどうこうしているのではなく、僕の仲間が葱で――
この話は長くなるので家に帰ってからにしましょう。
無事に帰ってくるのを待っているからね。
父より
追伸:
カイワレが育ちすぎて大変なことになっています。
収穫して食べちゃってもいい?