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父と子の往復書簡・25日目

時計 2007/11/03

From: Towako Aonagi
To: Rei Aonagi
Subject: 緊急連絡
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零へ


久しぶり。
私からの連絡はいつ以来になるかな。
何となく想像つくと思うけど、
今日はちょっと悪い知らせ。
続き
壱哉が無職になりました。
何度目のクビだろうね。
正確にはクビじゃなくて、なんとか協会とかいうところの
ライセンスが更新されなかったらしい。
原因は書類不備と本人は言っているけど怪しいもんね。
真面目で慎重な壱哉が書類不備なんて信じられない。
本人の名誉のためにそういうことにしておくけどさ。

さて、仕事がなくなったあんたの父親だけど、
強制的に実家送還になったわ。
今頃は爺様にこってり絞られていると思う。
再修業もさせるとか言ってたかな。
爺様もイイ歳してご苦労なことだわ。

しばらく壱哉から手紙なかったのはそんなわけ。
就職活動と、実家送還で書いてる暇がなかったみたい。
メールのほうが楽なのに、あいつはどうして手紙にこだわるかな。

とにかく、零は心配しなくていいわよ。
あんたは自分がしたいことをすればいい。
受験も近いんでしょ。
壱哉のことなんか気にしてないで、勉強に専念しなさい。

受験の日程と受験校決まったら連絡してね。
勉強は手伝えないけど、ホテルの手配くらいならこっちでするわ。

それと伯母さん、あんたにとってはお祖母さんか。
心配してたから一度電話でもしてあげて。
蒼凪の家は冷たいと思っているかもしれないけれど、
零を家族だと思っている人だっているんだからね。

それじゃ、また何かあったらメールするわ。


蒼凪十和子