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父と子の往復書簡・43日目

時計 2008/06/12

 ――刻まれた印は何の為?


 伸べた両掌は空。かつてそこに手を重ね合わせてくれた存在はない。二つの名を呟くが、辺りの空気はさざめくことなく静寂を守る。
 本当に、ひとり。
 羽織っている薄衣の前を合わせて顔を埋める。精霊の力で浄められた衣からは、柔らかな波動が感じ取れる。作ってくれた人の真摯な想いが伝わってくる。
 本当はひとりじゃない?

「お父さん、どうしてるかな」



「ふぇっくしょい!」
「……おっさんくさい」
「十和姉、五月蝿いです」

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