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父と子の往復書簡・54日目

時計 2008/09/12

 遺跡の中には森があった。
 山があった。
 川もあったし、砂漠もあった。
 回廊が途切れたと思えば、人工物とは思えない大自然が広がっている。
 地下であるはずなのに空は明るく、外界であるかと見紛う。
 人々のおおよそが思い浮かべる遺跡の常識を覆す。
 この遺跡はあまりにも常軌を逸していた。

 だけど、この光景はさらに予想の斜め上をいっていた。

 山岳の頂上、おそらく噴火の跡であろう窪み。
 窪みの平らになったところに男が三人座っていた。
 手近な火山岩の上に腰をかけ、円座になっている。
 そしてその内一人の背後には何故か“黒板”があった。
 小中高校大学専門英語塾。学校と呼ばれるものには大抵置いてある、あの緑色の黒板である。
 その黒板には白墨でこう書いてあった。

『第29回 イディア様親衛隊定例会議』

 男達は三人とも、頭に紙袋をかぶっていた。
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