Day4 /Killy
- 2011/10/26 00:00
- Category: 日記ログ::キリイ
何故と問われても退屈凌ぎとしか答えようがない。
女は常に退屈だった。
求めてやまなかった術は飽きるほど永い時を与えてくれた。
己の出自も真の名も忘れてしまうほどの永さだ。
永い時は学ぶには短すぎ、娯楽に費やすには長すぎた。
学ぶほどの根気もなく、かと言って絶えず遊びを思いつくほどの才能もない。
どちらも熱心にやるほどの意欲がなかった女は、結果、暇になった。
暇に飽かして、目につくものを壊してみた。
欲しいと思ったものは手に入れた。
手に入ったものはすぐに飽きた。
次々と壊し、手に入れ、そして捨てた。
いつしか人は女を魔女と呼んだ。鬼と呼んだ。悪魔と呼んだ。災厄と呼んだ。
しかし女はそんな二つ名など意に介さず、思うがままに行動した。
いくつもの国境を越え、いくつもの街を渡り歩いた。
時だけは永遠にあった。
そして、それも通り道の一つだった。
とある国のとある小さな農村の、どこにでもあるような道だった。
すでに通り過ぎた小道のことなど、女は欠片も覚えていない。