何度か書き直されたメモ帳がある…
七日目
十和姉と零から電話があった。
零が志望校に合格したとの報告だった。
信じていたけれど、きちんと本人の口から聞くと嬉しい。
本当に、あの子の一年が無駄にならなくて良かった。
気になったのは、また島に戻ると言っていたこと。
合格したら入学式があってそのまま授業が始まるはずで、
こんなところに戻ってくる暇はないはず。
どういうことだろう?
それにまだ零は僕が島にいることを知らない。
メイちゃんがいると思っているらしい。
どうしよう?
どうしようと言ったところでどうにもなるわけがない。
零に渡してくれと頼まれた物もあるし、会わないわけにはいかない。
腹を括っておくしかない。
顔合わせたらまず何を言われるだろう?
そう、コンビニの店長さんから零にとホワイトデーのお返しを貰った。
手作りらしい小さな包みだった。
クッキーかキャンディーかな。さすがに中を見るなんて野暮なことはしない。
あの人も随分とマメな人だ。
僕をネギ哉とか変な名前で呼ばなければいい人なんだけど。本当に。
さて、零が帰ってくる前に目の前の処理をしないと。
一時的に組むことになった人はいつもの菅原君じゃなくて雲月さん。
この人にだけは気をつけろと誰かに言われた覚えがあるんだけど……
大丈夫かな。
なんだか彼の視線が怖い。
身の危険を感じる。
メモはそこで終わっている…
「念のためこれを渡しておきますね、壱哉さん」
「……菅原君、僕、痔の薬とかそういう冗談あまり好きじゃないんだけど」