遺跡の中には森があった。
山があった。
川もあったし、砂漠もあった。
回廊が途切れたと思えば、人工物とは思えない大自然が広がっている。
地下であるはずなのに空は明るく、外界であるかと見紛う。
人々のおおよそが思い浮かべる遺跡の常識を覆す。
この遺跡はあまりにも常軌を逸していた。
だけど、この光景はさらに予想の斜め上をいっていた。
山岳の頂上、おそらく噴火の跡であろう窪み。
窪みの平らになったところに男が三人座っていた。
手近な火山岩の上に腰をかけ、円座になっている。
そしてその内一人の背後には何故か“黒板”があった。
小中高校大学専門英語塾。学校と呼ばれるものには大抵置いてある、あの緑色の黒板である。
その黒板には白墨でこう書いてあった。
『第29回 イディア様親衛隊定例会議』
男達は三人とも、頭に紙袋をかぶっていた。
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