わずかに濡れたメモ帳がある…
三日目
やはりこの遺跡はどこかおかしい。
さらに地下に降りたというのに森や草原が広がっている。
もちろん茸や苔の群生ではない。
霊脈を読もうと宵藍に呼び掛けたが呼び出しに応じない。
まだあの赤い石のことで拗ねているらしい。
菅原君は「猫駆除、猫駆除」と繰り返し呟いていた。
猫に怨みでもあるのだろうか。
彼からは時々黒いオーラが見えるようになった。
続く回廊の片隅に一冊の本が落ちていた。
表紙には「妖蛆の秘
メモはそこで終わっている…
「あれ? 壱哉さんは?」
「……拾い食いでもして腹壊したんだろ」